1億円以上の有価証券を持つ富裕層が海外に移住する際、株式の含み益に所得税を課す「国外転出時課税制度」が7月に導入されてから間もなく4カ月になる。「出国税」とも呼ばれるこの制度は、日本を除く先進7カ国(G7)では導入済みで、日本も各国の税制差を使った“課税逃れ”の牽制(けんせい)に遅ればせながら乗り出した。対象となるほんの一握りのお金持ちは手口が封じられ、節税対策がしにくくなっている。
これまでは、巨額の含み益がある株式などを持つ富裕層が、株式を保有したまま日本を出国し、株式の売却益に税を課さないシンガポールや香港などで株式を売って課税を逃れるケースもあった。こうした課税逃れについては、経済協力開発機構(OECD)が昨年9月にまとめたリポートでも懸念が示されていた。
これを受けて、日本政府も、移住目的で出国する時点で保有株式を売却したものとみなし、「含み益」に対して15%分の所得税を課すことを、2015年度与党税制改正で決めた。