TPP首脳会合で参加国拡大の重要性に触れた安倍晋三首相(左)=18日、フィリピン・マニラ(AP)【拡大】
実際、APECに参加している東南アジアを中心に、TPPへの関心は高まっている。首脳会合でもフィリピンやインドネシア、韓国がTPP参加の意欲が高い国であることが紹介され、16日には林幹雄経済産業相と会談したタイのアピラディ商務相も参加に前向きな姿勢を示している。
東南アジア各国のTPPへの傾倒は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立などでアジアでの影響を強めてきた中国にとっては大きな痛手だ。TPPの対抗軸として中国が進める東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、大半を東南アジア諸国連合(ASEAN)が占めるためだ。
中国による南シナ海の岩礁埋め立てに対し、フィリピンやマレーシアなどが反発を強めていることも中国にとっては逆風だ。中国寄りだった韓国までがTPP参加意向を示すなど、アジア経済を主導したい日米にとっては、絶好の“攻めどき”といえる。(マニラ 西村利也)