【迫る市場開放 TPPルポ】北海道、小麦農家「ピンチは好機」 (1/3ページ)

2015.11.21 07:10

国道沿いの小麦畑に立つ岡野貴儀さん=4日、北海道当別町

国道沿いの小麦畑に立つ岡野貴儀さん=4日、北海道当別町【拡大】

 ■生産性高め輸入品に対抗

 札幌市中心部から約20キロ北東の北海道当別町で、国道沿いに小麦畑が広がる。11月初め、秋まき小麦が青々と芽吹いていた。栽培する岡野貴儀さん(42)は「そろそろ雪が降る。雪の中で病原菌にやられる『雪腐れ』を防ぐため、畑の殺菌の準備をしないと」と話すが、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の大筋合意で危機感とともに迎える冬となった。

 岡野さんは、大学院修了後、1年弱のサラリーマン生活を送った後、約15年前に実家の農業を継いだ。当初約30ヘクタールだった農地は周辺の離農農家から土地を借りて拡大し、今では92ヘクタールに。当別町では有数の規模を誇る。

 約60ヘクタールで小麦、30ヘクタール弱で大豆、残りでコメや野菜を栽培。小麦は同じ農地で栽培を続けると病害が出やすくなるため、植える区画を毎年少しずつ変える。主に栽培する品種は、うどんなどに使われる「きたほなみ」だ。

 ◆交付金削減を懸念

 今夏、北海道の小麦は大豊作だった。春から夏にかけて適度に雨が降るなど天候に恵まれた。岡野さんの小麦も、一定の面積当たりの収穫量が平年を約3割も上回った。「こんなに収穫できたのは、恐らく農業を継いで初めてだろう」と頬が緩む。

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