ロンドンの日本大使館で開かれた高知県産の日本酒の試飲会=9月(同大使館提供)【拡大】
■高知県など 「和食ブーム」も追い風
日本酒の輸出は酒類全体の約39%を占め、年間約115億円にも上る。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効すれば、米国やカナダがかける関税は直ちになくなる。18の酒蔵を数える高知県は、官民一体で海外への販路拡大に取り組んでいる。
「香りも味も素晴らしい。ぜひ取引したい」
9月中旬、英国・ロンドンの日本大使館は、高知県産の日本酒の試飲会に集まった現地のレストラン関係者ら約120人でにぎわった。同県主催の「ロンドン土佐酒フェア」。県内の9酒蔵がブースを設け、地元の気候や文化を紹介するDVDを上映したり、高知の日本酒を用いたカクテルを振る舞ったりした。
県貿易協会によると、ロンドンに販路を持たなかった複数の酒蔵が、これをきっかけに現地の飲食店から取引を持ち掛けられた。参加した司牡丹酒造(同県佐川町)の竹村昭彦社長(53)は、高知の酒が海外の新しい市場で受け入れられることに自信を深めたという。
司牡丹酒造は海外売り上げの50%近くが米国で、TPPによる関税の即時撤廃の恩恵を受ける。アジアの割合はまだ3割程度だが、シンガポールやマレーシアなどTPPに参加する国の売上高は今後大きく拡大すると見通す。
高知県地産地消・外商課の担当者も「TPPを追い風に販路拡大をサポートしていきたい」と酒蔵との連携に意欲的だ。