【迫る市場開放 TPPルポ】酪農 攻めの姿勢で生き残り模索 (2/2ページ)

2015.11.25 05:00

搾乳作業を行う松井直弘社長=7日、群馬県太田市の松井牧場

搾乳作業を行う松井直弘社長=7日、群馬県太田市の松井牧場【拡大】

  • 松井牧場の生乳で作られたチーズ(同牧場提供)

 12年ごろからは、生産した生乳を活用したチーズなど松井牧場ブランド製品の生産や販売に、外部企業と協力して取り組み始めた。

 目下の課題は、独自ブランド製品の売り上げを伸ばすことだ。「売るのは大変」と苦労を口にするが、表情に暗さはない。守りよりも攻めの姿勢で困難を乗り切ろうとしている。

 生産だけでなく、加工や販売も手掛ける「6次産業化」に関心を持つ。いずれは飲用乳も独自ブランドで売る考えだ。現在は群馬県内の酪農協同組合に出荷しているが、手数料を引かれ手取りが減ってしまう。ブランド化によって、消費者にもっと高く買ってほしいという。群馬県は東京を中心とする大消費地に近い。他産地よりも有利に事業を展開できる可能性がある。生き残りの道がないわけではない。TPPに対しては「高水準の生産技術を蓄えていくしかない。力のある生産者がもうかるようにしてほしい」と話す。政府には、給食で質の高い牛乳を飲ませる食育の取り組みのような需要拡大策を求めている。

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