ベニグノ・アキノ3世は、父がベニグノ・アキノ・ジュニア元上院議員で母がコラソン・アキノ元大統領という血筋だ。そんな政治一家で育ったベニグノ・アキノ3世は、フィリピン国民にとって“救世主”として大統領に迎え入れられた。前大統領が率いる政権は汚職や不正が絶えず、国民は政治不信に陥っていたため、ベニグノ・アキノ3世が大統領に就任して国政を一新してくれることを望んでいた。その期待にアキノ政権は応えたといえよう。
◆教育制度改革
アキノ政権には良好な経済運営のほかにもいくつかの功績がある。最も顕著なのは、教育制度改革だろう。従来の「初等教育6年・中等教育4年」を「初等教育6年・中等教育6年」に改めた。中等教育の2年延長により、大学入学一般年齢が16歳から18歳となる。教育期間が世界標準と肩を並べるわけだ。中等教育の2年上積みは16年から適用される。つまり、18年には初等中等12年間の教育を終えた最初の学生が誕生する。
国の懸案事項の解決に結びつく法案をいくつか通したことも目を引く。代表的なのが12年12月に成立した「リプロダクティブ・ヘルス(RH)法」。望まない妊娠や“闇の中絶”から女性を守る道を開く法律だ。今年7月には、独占禁止法に相当する「公正競争法」と、外国籍船によるフィリピン国内での海上貨物輸送の自由度を広げる「外国船共同積荷法」にアキノ大統領が署名した。貿易と公平な競争を促進するのが狙いだ。こうしたさまざまな改革に着手したことが、アキノ政権の評価を上げた。
アキノ政権は、国内社会の安定にも大きな足跡を残している。12年10月、政府とイスラム武装組織MILF(モロ・イスラム解放戦線)は和平合意に達した。ミンダナオ島南西部で約40年に渡って続いた紛争にひとまず終止符が打たれた形だ。これらの動きもフィリピンのイメージアップと信頼度の高まりに寄与している。