7日、ミャンマーのヤンゴンに新しくオープンしたケンタッキーフライドチキンの店の前でたたずむ若者(ゲッティ=共同)【拡大】
ASEANはAEC創設が道半ばであることを認識しており、事態打開に向け2025年までを見据えた計画を策定。レ・ルオン・ミン事務局長は「(各種の)規制の見直しに取り組む」としている。半面、ミャンマーは総選挙が終わったばかりで、共産党一党支配のベトナムも来年1月に党大会を控えるなど、各国の目は内政に向きがちで、計画の実現性は不透明だ。
◆にじむ不安
「タイ政府として何かできることはありませんか」。10月初めにTPP交渉が大筋合意した後、日系自動車メーカー首脳はタイ政府高官からこうささやかれた。TPP交渉に加わっていないタイから交渉参加国のマレーシアやベトナムへ企業が逃げ出すのではとの不安がにじむ。
通商ルールの高度な自由化を目指すTPPによりASEANが分断される恐れは否定できない。
TPPのほか、ASEAN各国に日本、中国、韓国、インドなどを加えた16カ国が東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の実現に向けて交渉を続けている。また中国は、アジア、中東、欧州をカバーする現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を打ち出した。
「世界の成長センター」アジアの活力を取り込もうとする動きが活発化しており、これまでアジアの経済統合を主導してきたASEANの存在が揺らぎかねない。フィリピンの貿易産業省幹部は「われわれは危機のたびに統合を加速してきた。今後もそうありたい」と語気を強めた。(バンコク 共同)
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