金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=18日午後、日銀本店【拡大】
日銀が上場投資信託(ETF)の買い入れ枠追加などの金融緩和の補強策に踏み切ったのは、設備投資や人材投資に前向きな企業を支援することで、官民対話や春闘で賃上げ要請を重ねる政府を側方支援するためだ。米国の9年半ぶりとなる利上げで新興国からの資金流出が懸念される中、企業や投資家が抱える経済の先行き不安を払拭する狙いもある。
「冬のボーナス、春闘での賃上げに強い関心を持っている。2%の物価上昇目標を達成する上で賃金の上昇は不可欠だ」。日銀の黒田東彦総裁は18日の会見で、産業界への賃金改善への期待感をにじませた。
足元では、消費者物価指数(生鮮食品を除く)は原油価格が下げ止まらず、前年同月比でマイナスが続く。日銀が15日に公表した企業の1~3年後の物価見通しは2四半期期連続で下方修正された。「2016年度後半ごろ」とする2%の物価上昇目標の達成時期がさらに遅れる可能性も出ている。日銀内では春闘で賃上げが行われなければ、デフレ脱却が遅れるとの懸念もある。「企業や家計のデフレマインドの転換は進んでおり、企業収益も好ましい」と主張する黒田総裁は、人材や設備への投資を進めることこそが、企業が勝ち残るための必須条件と考えている。