16日、利上げ決定後にワシントンで記者会見するFRBのイエレン議長(AP)【拡大】
一方で、ノーベル経済学賞を受賞したエール大学のロバート・シラー教授らが「米国株は歴史的に割高ではないか」と警鐘を鳴らし始めている。マルチプルと呼ばれる、(1株当たりの)利益に対する株価の倍数が、歴史的な平均から大きく上に振れ始めたためだ。01年のITバブルと08年の金融危機を予見した著名教授の予言に、ウォール街では懸念の声が上がっている。
利上げとは貨幣の値段が上がることを意味しており、企業が現在の株価水準を維持するためにはより利益を稼げなければならない。だが、「ドル高と原油安によって、米国企業の利益水準は16年にも低下する見通し」(米大手銀)。
分母の利益水準が下がれば、分子の株価も下がるのは必至だ。「米国の株式相場が調整局面に入ってもおかしくはない」とするシラー教授は、あながちおおかみ少年とはいえない。
◆不透明性払拭の代償
先だってワシントンDCで会った米フィラデルフィア地区連銀のチャールズ・プロッサー前総裁は「利上げの判断が1年遅い」とこぼしていた。プロッサー前総裁は今年3月に退任したばかりだが、労働市場の引き締まりと景気循環で後退期に入るリスクを理由に、早期の引き締めを求めていた。
確かに、プロッサー前総裁の言う通り、利上げ決定を先延ばししたため、14~15年にかけ中国株、ジャンク債、ネット関連などのバブルが生まれている。
FRBのアラン・グリーンスパン元議長が先週、ニューヨークで講演し、「リスクが(中央銀行から市場に)移転した」とFOMCの決定にコメントしていた。グリーンスパン元議長は来年以降の相場付きに関して、「ボラティリティー(相場の振れ)が上昇する」と予想している。
「FRBの利上げ時期」という市場関係者を1年来悩まし続け「不透明性」はなくなったが、その代償が「大きなボラティリティー」となる。(産経新聞ニューヨーク駐在編集委員 松浦肇)