憲法裁が請求権協定の違憲性の判断を回避したことで、韓国政府は慰安婦問題で指摘された「不作為」を問われることはなく、日本に“再協議”などを求める国内向けの義務はなくなった。
ソウル行政裁判所も10年に、「未来のために韓日関係改善の必要があり、請求権協定が達成しようとする国益は非常に大きい」とし「合憲」としている。
しかし、12年に韓国最高裁は「個人の賠償請求権は消滅していない」と判断した。その後、韓国での元徴用工らによる訴訟では、日本企業に賠償を命じた判決が相次いでいる。
憲法裁は今回、訴えを却下したが、請求権協定が合憲だと判断したわけではないとも言っている。問題の火種が韓国側で一方的にくすぶり続けることに変わりはない。