企業側はガスの安定供給が目的だとしているが、EUはウクライナ危機でガス輸入量の約4割を頼るロシアに対し、供給停止を恐れて経済制裁で躊躇(ちゅうちょ)するなどした経験から、供給源などの多様化を図り、一国に過度に依存する状態の改善を目指しているところだ。
このため東欧諸国は「EUの利益と矛盾する」(スロバキア)などと一斉に計画に反発。実現すれば露産ガスの主要経由地としてのウクライナの重要度が低下し、同国への供給も停止しやすい環境となる。仮に停止されれば、主に同国経由のパイプラインでガスを受け取る周辺の東欧諸国への影響は大きい。
イタリアも強い反発を示す。伊エネルギー大手などがガスプロムと計画した黒海経由のパイプライン「サウス・ストリーム」はEUの規則に抵触するとされ、14年末に中止を迫られた。レンツィ伊首相は一方で今回の拡充計画が進むことを疑問視し、「EUは一国のものではない」とドイツへの不信感もあらわにした。