ベトナムの首都ハノイにあるビアホール(AP)【拡大】
ベトナムで国内外のビール会社の市場競争が激化している。同国はビールの消費量が拡大するなか、相次ぐ外資参入に加え、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に伴う関税撤廃により輸入ビールの流入拡大が予測され、地場メーカーは厳しい事業運営を強いられると専門家は指摘した。国営ベトナム・ニューズなど報じた。
英調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、ベトナムのビール市場は現在、シェア首位が地場ビール会社のサイゴンビール・アルコール飲料総公社(サベコ)で46.0%、次いで、蘭ハイネケン傘下企業と地場企業の合弁会社ベトナム・ブルワリー(VBL)が18.2%、地場ハノイビール・アルコール飲料総公社(ハベコ)が17.3%と続く。
同市場では、地場ビール大手のサベコとハベコの2社のシェア合計が全体の約6割を占めているものの、外資ビール会社がベトナムでの生産増強や販売網を拡大していることなどに伴い、国外ブランドのビールの人気が高まっている。バドワイザーを販売するベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブは昨年、ベトナムでの生産を開始した。さらに、TPP発効に伴い、現在35%とされる輸入ビールへの関税が最終的に撤廃されれば、ビール輸入がさらに拡大するとみられている。
一方で、ベトナム政府は、地場ビール会社への投資加速に向け、国営企業であるサベコとハベコの一部株式の売却を計画している。多くの外資ビール会社が関心を示すなど、ビール各社の合従連衡の動きも今後さらに活発化しそうだ。
同国のビール・アルコール飲料協会によると、2014年の同国のビール消費量は前年比8.1%増の31億4000万リットルだった。15年は33億リットルに達すると予測される。(シンガポール支局)