日本では、エリアマネジャー、店長、チームリーダーなど職種別に1000講座を用意しているが、タイでは20~30講座に再編。その代わり、日本では3時間で終えるところを、1講座当たり6時間とたっぷり時間を割いている。「おもてなし」や挨拶、立ち振る舞いなどを初歩から丁寧に教えていく。当面は日系企業が対象となる見通しだが、「最終的にはタイの会社に活用してもらいたい」(齋藤取締役)と、価格は1社当たり2万バーツ(約6万5000円)からと低額に抑えた。この金額で1社10人まで受講が可能だ。
◆教育と評価の補完
「グローイング・アカデミーがタイに進出したのは、ここがASEANの中心であり、サービス業の集積地であるから」と全6校で校長を務める有本均氏は話す。有本氏は早稲田大学を卒業して日本マクドナルドに入社。その後、同社の人材教育機関「ハンバーガー大学」で学長を務め、ファーストリテイリングで「ユニクロ大学」の部長も歴任した。4年前のアカデミー設立時に招聘(しょうへい)され、「おもてなし」の奥義を今も現場で語り伝えている。AECの発足など東南アジア市場のグローバル化を見据えて、タイでの開校を決断したという。
もう一つ、タイ進出の背景には将来の労働力減という要素もあったと有本学長は打ち明ける。タイは総人口約6500万を擁するが、女性1人当たりの生涯出産人数を示す合計特殊出生率は先進国並みの1.4と低い。高齢化も速く、現行のペースで推移した場合、30年の時点で65歳以上の高齢者の割合が20%に達すると予想されている。総人口も早ければ近年中に減少に転じる見通しで、少子高齢化対策は日本と肩を並べるほど急務だ。