南シナ海の領有権問題をめぐり、中国政府に抗議するフィリピンの人々。アキノ政権はAIIB署名に踏み切った=マニラ首都圏(AP)【拡大】
フィリピンは昨年末、中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立協定に署名した。南シナ海の領有権をめぐって中国と激しく対立するフィリピン政府が署名に踏み切った背景には、インフラ整備の加速などの経済的な利益が得られるとの思惑があるとみられており、フィリピンの産業界などからは肯定的な意見が上がっている。現地経済紙ビジネス・ワールドなどが報じた。
AIIBは、出資合計比率が50%を超えたとして昨年12月25日に正式発足。フィリピンは同月31日、創設国メンバーでは最後となる57番目に署名した。今後は国内での批准を経て、出資金1億9600万ドル(約230億円)を5年以内に拠出する。
同国財務省の幹部は、政府が予定している官民連携(PPP)方式の事業をはじめ、インフラ整備の資金確保につながるとし、出資金に見合う価値は十分にあると強調した。中国との政治的な対立については「新興国にとっては、発展の機会を逃さないことが何より重要」との認識だ。