記者会見するアジアインフラ投資銀行の金立群初代総裁=17日、北京(共同)【拡大】
ADBは“後発”のAIIBをどんな思いで見ているのか。マニラのADB本部を訪ねると、意外とも思える言葉が返ってきた。「彼ら(AIIB)の姿勢はとても協力的だ」。そう取材に語ったスティーブン・グロフ副総裁は、AIIB開業式典に出席するため北京へと翌日たった。
確かに2020年までにアジアでは8兆ドル(約940兆円)のインフラ資金が必要とされる中、ADBだけでは賄えないとの指摘は多く聞かれる。中尾氏は今月8日、フィリピン外国人記者協会の会見で、AIIBの第1弾融資案件にADBとの協調融資が含まれるとの見方を示し、既に協議入りしていることも明らかにした。
ただ、AIIBが注目される初回案件でADBと組む狙いは「(AIIB参加を見送った)日米の警戒感を和らげるため」(国際金融筋)との見方がある。環境汚染や住民立ち退きなど人権問題が懸念される案件は、ADBの厳格な審査ではじかれる。一方、「中国政府に従順を示せばどんな案件でもAIIBは融資し、ADBの環境基準に抵触する石炭火力発電所建設なども増えるのでは」(同)との懸念は根強い。