第4に、「酒類および外食を除く」とした食料品の対象範囲も曖昧さが残り、実際の運用に当たり、その線引きに大きな問題が生じることが予想される。例えば「外食」の定義をめぐって、さまざまなケースでその曖昧さが指摘されている。そして今回、食料品以外の対象を新聞だけに収めたが、これから雑誌、書籍をはじめ数多くの候補が浮上するに違いない。圧力団体の跋扈(ばっこ)も予想され、政治的にこれをうまく決着させられるか心配である。
そして第5に、軽減税率の減税のための安定財源約1兆円を16年度末までに決めると先送りしたのは大問題であった。これほど無責任な政治判断は断固批判されるべきであろう。社会保障と税の一体改革の構想からすれば、当然その減税財源は社会保障費を削減し、捻出すべき性格の問題である。
しかし安倍首相の国会答弁を見る限り、その覚悟はないようだ。また安易に赤字国債の発行に頼るのではないかとの懸念も拭えない。
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【プロフィル】石弘光
いし・ひろみつ 1961年一橋大経卒。その後大学院を経て、講師、助教授、教授、学長。専攻は財政学。経済学博士。現在、一橋大学ならびに中国人民大学名誉教授。放送大学学長、政府税制調査会会長などを歴任。78歳。東京都出身。