この勢いは、今年に入ってからさらに加速している。まず不動産大手の大連万達集団が、米映画製作会社のレジェンダリー・エンターテインメントを35億ドルで買収すると発表。続いて家電大手の海爾集団(ハイアール)が、米電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を買収した。金額は54億ドルである。中国の報道によると、このほかの買収も含め、1月だけで200億ドルを上回ってしまったという。
買収の主要目的は、海外企業の技術をまるごと取り込み、製品の付加価値を高めていくことだ。株価下落などで、比較的低価格で買収しやすい案件が増えていることも、中国に幸いしている。海外では古くなった技術でも、国内ならばまだ十分に通用するという側面もある。
国別では欧米の企業買収が多い。日本企業については、何年か前に家電量販店のラオックスが中国の蘇寧電器(現・蘇寧雲商集団)に買収されるなど、話題になったことがあるが、最近はそれほど目立った動きはない。だが、大型の日本企業買収の案件がいずれ登場してくるかもしれない。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)