【Viva!ヨーロッパ】
「敵艦見ユ。本日天気晴朗ナレドモ波高シ」-。1905(明治38)年5月27日、東郷平八郎司令長官率いる連合艦隊の旗艦「三笠」は大本営に、こう打電し、対馬沖でロシアのバルチック艦隊を迎え撃ち、勝利に導いた。ロシアの脅威から国を守ったシンボルとして今も親しまれる「誉れの名艦」のルーツを求めて、英イングランド北部カンブリア州バロー・イン・ファーネスを訪ねた。
通り名称116年不変
ロンドンから電車に乗って、繊維産業で栄えたランカスターを経由して4時間半。バロー・イン・ファーネスは、アイルランド海に面した港湾と造船業の町である。近くには「ピーター・ラビット」の作者であるヘレン・ベアトリック・ポターが半生を送り、創作活動を送った湖水地方のニア・ソーリーがある。沖合に浮かぶ島は自動車レースで有名なマン島だ。
バローは、造船会社「ヴィッカーズ」の企業城下町として発展し、現在も「ヴィッカーズ」を引き継いだ防衛航空宇宙企業「BAEシステムズ」造船所が原子力潜水艦を建造している。