【Viva!ヨーロッパ】
中部ヨーロッパのポーランドは「お城の国」である。国土には179もの城があり、建築された時代、様式もさまざまだ。その姿の多様さは、ポーランドが幾多の外国勢力の支配を受けながら歩んだ歴史と無縁ではない。そんな城々の中で今、チェコとの国境に近いワウブジフにあるクションシュ城が人気を集め、世界中からの観光客でにぎわっている。理由は、ナチス・ドイツによって強奪された財宝を積んだまま、第二次世界大戦でのドイツ降伏直前に姿を消したとされる伝説の「黄金列車」がワウブジフの地中で見つかったと報道され、城周辺への注目度が俄然(がぜん)高まったためだ。
1288年に完成
クションシュ城は、マルボルク城、ヴァヴェル城に次ぎ、ポーランドで3番目に大きな城である。13世紀後半に地元の貴族、ボルコ・スロヴィ公が数多く建てた城の一つで、1288年に完成し、その後、チェコ王が所有した。1508年に大富豪ホッホベルク家のコンラート1世に払い下げられ、このホッホベルク公爵家が1941年のナチスによる強制接収まで城主だった。