しかし、「黄金列車」の一部始終が報じられると、世界中から好奇心旺盛な人々がワウブジフに集まるようになり、街一番の観光スポットであるクションシュ城は活況を呈した。
クションシュ城が注目されているのは、第二次大戦中はこの城にナチスの司令部が置かれ、城の地下にもナチスが掘った1キロにも及ぶ地下トンネルや居室があるためでもある。明かされていない「黄金列車」の埋設場所は、大方の人が城周辺か城敷地内とみているのだ。
冷戦後、観光の目玉に
「シレジア(この地方の名称)の真珠」とも形容されるクションシュ城。ナチスを率いたアドルフ・ヒトラー(1889~1945年)は、全欧州制覇の野望を達成した後には、この城を居住地にするつもりだったとされる。戦後は一時、荒れ放題の状態だったが、1956年以降、地元ドルヌィ・シロンスク県の管理下で徐々に修復工事が行われるようになり、東西冷戦終結後の91年からはワウブジフ市が城を管轄し、観光資源として整備した。