【カイロ=大内清】ベネズエラなど石油輸出国機構(OPEC)加盟国の石油相らと会談したイランのザンギャネ石油相は17日、サウジアラビアやロシアが合意した原油の増産凍結措置について、「油価を安定させるためのあらゆる取り組みを歓迎する」と述べた。ただ、イランが増産凍結に同調するかについては明言を避けており、有力産油国による協調体制構築はなおも不透明だ。
ザンギャネ氏は、サウジやロシアなどの増産凍結合意を機に「OPECと非OPEC諸国の連携が始まることに期待する」とも語った。
イランは、1月に核開発問題に関連する経済制裁が解除されたことを受け、外貨収入の確保に向けて原油の生産と輸出を増大させる方針を示している。
ザンギャネ氏の発言には、OPECの盟主で原油輸出世界首位のサウジと、同2位でOPEC非加盟国のロシアが率先して生産調整に動くことを促す半面、自国の態度は保留することで着実に市場シェアを確保しようとの狙いがあるものとみられる。
世界的な需要のだぶつきで油価が低迷する中、サウジやロシアなど産油国は財政状況が大幅に悪化。その一方で各国は、単独で原油生産を抑制してシェアを奪われることも恐れている。
サウジやロシアは、増産を明言しているイランを念頭に、増産凍結は「他の産油国の同調が条件」だとしているだけに、今後もイランの動向が焦点となる。