カキ養殖の作業をする桃浦かき生産者合同会社の漁師。担い手不足も深刻になっている=2月、宮城県石巻市沖【拡大】
東日本大震災の被災地で、水産をなりわいとする漁師や、その周辺で人手不足が深刻さを増している。沿岸地域の維持や発展のためには欠かせない基幹産業。住宅再建の遅れや人口流出で将来の姿が見えない地域もあり、関係者の試行錯誤は続く。
◆廃業や再建断念
「毎日が綱渡り。漁獲量が増えても今後やっていけるかどうか」。宮城県石巻市雄勝町の漁協職員は人手不足に頭を抱える。主力のホタテや銀ザケの水揚げは震災前とほぼ同額まで回復。今後も販売額の上積みが見込まれるが、漁師を支える人手は圧倒的に足りない。
震災前は養殖ホタテの下準備や、サケの血抜きといった陸上作業は近所に住む高齢者らに頼んできたが、震災で町内の約8割の建物が流失。内陸で自宅を再建した人や、今も避難中の人もおり、これまでのように浜に出向くことが難しくなった。繁忙期にはやむなくハローワークで人手を募る漁師もいる。
85人いた漁協の正組合員は、廃業や再建断念、子供の通学などの理由で55人に減った。残った漁師の意欲は高いものの、住まいの復興が進まないと、将来頭打ちになるとの懸念は根強い。町中心部の宅地造成が全て終わるのは約2年後だ。
現状を打破しようと、行政や漁業者はさまざまな取り組みをしている。震災後、人口が2割以上減った岩手県大槌町では町が「漁業学校」を開催。震災後、3泊4日の体験や、3カ月の本格養成講座で、定置網漁や養殖について学ぶ機会を提供、これまで5人が漁業の仕事に就いた。