こうしたマイナス金利の懸念は、日銀が公表した1月28、29日の金融政策決定会合の議事要旨にも見て取れる。マイナス金利に反対した審議委員からは、「金融機関や預金者に混乱を招く」「資産買い入れの限界と受け止められる」「催促相場に陥る」「市場機能への副作用が大きい」「海外との緩和競争の恐れがある」などの意見が出された。しかし、黒田総裁は反対意見には「説明を尽くす」と引き取り、賛成5、反対4の僅差でマイナス金利の導入を決めた。
なぜ黒田総裁ら執行部はマイナス金利を強く推したのか、議事録では「人々のデフレ心理の転換が遅れ、物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している」「予防的に追加緩和することが適当である」といった意見が出されている。しかし、事務局からは追加緩和の選択肢として「量的・質的金融緩和の拡大=国債等の買い入れ拡大」と「マイナス金利導入」の2案が提示されたが、このうち前者について議論された形跡はない。「マイナス金利導入という結論ありきの議論だったのだろう」(エコノミスト)とみられている。
実は、「マイナス金利は、現在の量的・質的緩和の出口戦略の一環として検討してきたもの」と日銀関係者は明かす。現在の月間80兆円もの国債を買い入れる量的・質的緩和はいずれ終わりを迎える。買い入れを停止し、日銀が保有する国債の残高を減少させるテーパリングと呼ばれる出口戦略と併せてマイナス金利を導入する案が練られていた。出口戦略で最も懸念されるのは金利の急騰(国債価格の急落)。マイナス金利はそれを抑え込む効果が期待されていたわけだ。