もう一つ消費に大きな変化がある。百貨店の好調を支えてきた高額商品の売れ行きが芳しくないのだ。高級時計や宝石、貴金属や美術品などである。百貨店の統計では「美術・宝飾・貴金属」という分類で、アベノミクスの開始以降、国内消費の牽引(けんいん)役になってきた。
株式を保有している富裕層を中心に、円安による株高によって保有する資産の価値が上昇、それによって財布のひもが緩む。いわゆる「資産効果」が、外国人の「爆買い」と並んで消費を支えてきた。
ところが、年明け以降の株価下落で、その資産効果が消えたのである。1月の「美術・宝飾・貴金属」部門の売上高は前年同月比3.3%減と、久方ぶりのマイナスになった。日本のGDP(国内総生産)の6割を占める個人消費は明らかに減速し、日本経済の足を引っ張り始めている。
来年4月に予定されている消費増税を再延期すべきだという声がジワジワと広がっている。5%から8%に引き上げた影響がいまだに消えていない中で、予定通り増税をすれば、消費は一気に冷え込むことになるだろう。足元の消費の弱さを見る限り、再延期は当然の結論のようにみえる。
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【プロフィル】磯山友幸
いそやま・ともゆき 早大政経卒。日本経済新聞社で24年間記者を務め2011年に独立。53歳。