「産業的な食品供給のチベット進出は膨大なニワトリの苦しみを永続させるものであり、私はこれに対する反対を支援します」(04年6月22日)
ダライ・ラマの論点は、仏教の五戒に挙げられる「不殺生戒(ふせっしょうかい)」を踏まえたようだ。KFCがなぜいまになってチベット上陸を決断したのかは明確でない。中国内外のメディアがラサ1号店に注目したのは、こんな経緯があったからだった。
それでも出店の是非は、企業の経営判断によるはずだ。中国メディアには、KFCの出店をダライ・ラマの「反対」を押し切った“快挙”に仕立て、都合よくダライ・ラマ批判を書き立てた論評まで登場した。これが「ほめ殺し」であるなら、KFCには迷惑な話だろう。
中国でのビジネスは、経営のそろばん勘定に加えて、政治や社会、さらに宗教や民族を含めた文化にまで目配りを要する。KFCのチベット上陸はその試金石だろう。しばらく成否を観察したい。(産経新聞編集委員兼論説委員 山本秀也)