第1に確認すべきは、移民政策に踏み切ったら本当に人が押し寄せるのかという点だ。人口減少対策とする以上、相当数の受け入れが前提となるが、移民は一体どこの国からやってくるのだろうか。具体的に想定しておく必要がある。
というのも、移民が大量に来るようになれば、日本社会はそれを前提として形成されるからだ。当初は安定的に来たとしても、送り出し国側の事情で突如として来なくなれば、人為的に人口急減を引き起こすのと同じである。ただでさえ日本人が減るのに、移民まで減るダブルパンチになったのでは社会は大きく混乱する。
コンスタントに移民が来日するかを知る手掛かりは世界人口の予測にある。国連の推計によれば、世界人口は2015年の73億人から50年に97億人に増え、2100年には112億人となる。ただ、伸びが顕著なのはアフリカ諸国だ。「移民」と聞けば、送り出し国としてアジアや南米をイメージする人も多いだろうが、アジア各国は50年頃から人口が減り始め、ブラジルなども減少に転じるとみられる。
しかも、世界人口の増加を後押しするのは寿命の延びである。50年にはタイの高齢化率は30.4%、中国23.9%、ベトナム23.1%など軒並み上昇する。
移民送り出し国にすれば、若い世代を失うのは高齢化や少子化の進行を容認するのと同じである。「日本がお困りでしょう」といって積極的に送り出す政府指導者がどれくらいいるだろうか。
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