◆経常益2.4兆円減も
だが、投資家の先行き不安感は依然、根強い。この日も比較的安全な資産とされる国債を買う動きが強まり、国債市場では長期金利の指標である新発10年債の利回りがマイナス0.230%と、過去最低を更新。やや落ち着いたとはいえ、円相場も1ドル=101円台後半から102円台と、主要企業の想定レートより大幅な円高水準にある。
SMBC日興証券の渡辺浩志シニアエコノミストの試算では、円相場が2016年度を通じて1ドル=100円で推移した場合、国内で上場する製造業の経常利益総額は、当初の見込みより2兆4615億円もの減益になる。中でも輸出の割合が高い自動車などの輸送機器や機械・精密機器、電機といった業種への打撃が深刻だ。
政府内でも円高再燃への警戒感が高まっている。菅義偉官房長官は28日の記者会見で、英国のEU離脱問題に関し、「まず大事なのは金融市場の短期的な動きを注視することだ」と強調。景気の下支えのため参院選後にまとめる予定の経済対策を急ぐよりも、市場の安定化に優先して取り組む考えを示した。自民党も同日、稲田朋美政調会長をトップとする緊急特別本部の初会合を開催。大型補正予算の編成を視野に、円高対策の検討に着手した。
市場の混乱が長引けば景気の下押し圧力は確実に強まるだけに、経済対策の具体案の策定に向けても、円高の動向は焦点となりそうだ。