京都市で開かれていた経済協力開発機構(OECD)租税委員会が1日閉幕し、多国籍企業の課税逃れ対策を実行に移すため、各国が体制を整備することなどで合意した。租税回避地の節税実態を暴露した「パナマ文書」問題を受け参加国が拡大し包囲網は強化された。だが、新興国の体制整備など実効性を確保するための課題は多い。
「これは企業と税金をとる立場との競争だ」。麻生太郎財務相は強調する。京都会合で集中的に議論したのは「BEPSプロジェクト」と呼ばれる課税逃れ対策だ。国ごとに違う税制の隙間を狙った多国籍企業の過度な節税に、15の共通ルールで網をかける。
ルールは昨年10月に策定され、多国籍企業がグループ内の取引で収益性の高い特許を移転したり、資金の貸し借りを操作して、法人税率が低い国に利益を集めたりする行為に適正に課税する仕組みなどが柱だ。