【高論卓説】不幸の度合い増すGPIF 圧力と期待の板挟み、市場の“カモ”に (1/2ページ)

2016.7.5 05:00

 旧知の元大学教授から面白い話を聞いた。「今、有識者らの間で最も敬遠されている政府・関係機関の重要役職は日銀の政策委員会委員と、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の理事」だという。ココロは。「ともに見えざる政治の圧力と所轄官庁の意向が強く働き、自説を闊達(かったつ)に語ることもできず、ストレスが蓄積するばかり」だからだそうである。かつて日銀の政策委員会委員とGPIF理事は有識者らの憧れのポストだった。名誉も付随した。

 GPIFは2015年度の運用成績を7月29日に公表する予定だ。決算期末から4カ月近くもかかっての公表だ。上場する銀行なら通常、決算期末から1カ月前後で決算を公表する。資産運用会社は組入株式を日々、値洗い(時価評価)し、日次で個々の株式ファンドの基準価額を発表している。GPIFの運用成績の公表は明らかにタイムリー・ディスクロジャー(時宜を得た情報開示)に反する。GPIFの数理処理能力が劣っているわけではないだろう。何らかの政治的な圧力、所轄官庁の意向が影響したからとしか思えない。

 「運用損失5兆円超」。GPIFが15年度の年金資金の運用で5兆円を超える損失を発生させたとの報道が相次いだ。GPIFは14年10月の基本ポートフォリオの見直しで、国内株式の保有比率を旧来の12%から25%に引き上げた。15年12月末現在の国内株式の保有比率は23%強。日経平均株価は15年3月末に1万9200円台だったが、16年3月末は1万6700円台。1年で約13%下げた。リスク資産の運用が増えれば、相場の上下動で損益は目まぐるしく替わる。株式相場が上昇した14年度は15兆円を上回る黒字だった。

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