【高論卓説】不幸の度合い増すGPIF 圧力と期待の板挟み、市場の“カモ”に (2/2ページ)

2016.7.5 05:00

 半年、1年の運用成績で責任を問われ、運用の巧拙を判断されてはGPIFも浮かばれまい。不幸だ。GPIFは短期で運用成果の極大化を求められるヘッジファンドではない。5年、10年単位で運用成績の良しあしを判断する必要がある。14年10月の基本ポートフォリオの見直しも25年先をにらんだリスクとリターン概念の変化への対応が前提だった。国内外の株式、債券の運用で連戦連勝を続けるのは至難の業。GPIFに資金運用でプラスを続けることを求めるのは過剰な期待ともいえる。GPIFの15年度の運用損失5兆円超を政争の具にするのは浅薄。国民の過剰な期待に便乗したポピュリズム(大衆迎合主義)とも映る。もっとも、基本ポートフォリオ見直しの際に運用で損失が膨らむ可能性があることをきちんと説明しなかった政府の責任も重い。

 GPIFは今年、保有株式の銘柄名、株数、時価総額なども公表する予定だ。しかし、運用に巧みな投資家は手の内を明かすことはない。G・ソロス、W・バフェット…。著名な世界の投資家が相場観を語り始めたのは巨額の資産を築いた後のことだ。彼らはさまざまな媒体を通じ相場観を語るが、市場では「あれは本音と裏腹の自己を有利に導くマーケット・トーク」との評が絶えない。市場は虚々実々の世界。手の内を曝(さら)す投資家は他者からなめられ、カモにされるのがオチ。マーケットで正直さと透明性が過ぎるのは考えもの。GPIFは圧力と期待の狭間(はざま)で、不幸の度合いが増すように思えてならない。

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【プロフィル】加藤隆一

 かとう・りゅういち 経済ジャーナリスト 早大卒。日本経済新聞記者、日経QUICKニュース編集委員などを経て2010年からフリー。66歳。東京都出身。

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