財務省が5日に実施した7月発行の10年物国債の入札で、平均落札利回りがマイナス0.243%となり、過去最低を更新した。日銀のマイナス金利政策に加え、英国の欧州連合(EU)離脱決定を受け、投資マネーが国債などの安全資産に流れていることが背景にある。
ただ、借金をする立場の国が将来返済する元本と利息を上回る資金を得られる状態で、財政規律の緩みにつながるとの指摘も出ている。
入札には7兆9297億円の応募があり、2兆1804億円が落札された。落札利回りがマイナスになるのは5カ月連続。これまで最低は5月分のマイナス0.096%だったが、マイナス幅は大きく拡大した。額面に対する利息の割合を示す表面利率は過去最低の年0.1%で据え置いた。
今回、マイナス幅が拡大した背景には、10年物国債の流通利回りが低下していることがある。英国の国民投票でEU離脱派が勝利したことで、世界経済の先行き不透明感が増大。安全資産の1つである国債に投資マネーが流入している。