【専欄】「一帯一路」早くも正念場に 拓殖大学名誉教授・藤村幸義 (2/2ページ)

2016.8.2 05:00

 タイとは首都バンコクとラオス国境のノンカイを結ぶ路線の交渉が続けられてきた。タイ側からすれば、中国への期待が大きかったわけだが、融資をめぐる金利や沿線の開発権などで交渉は難航。業を煮やしたタイ側は、一部区間を自己調達資金で建設すると発表してしまった。残りの区間がいつ着工できるかは分からない。

 ラオスでも工事はまだ始まっていない。ここでも資金面での分担をどうするか、双方の折り合いがついていないようだ。

 シンガポール、マレーシアとも交渉が続いている。ところがその最中に、中国がシンガポールの地下鉄運営会社に納入した地下鉄車両で亀裂などが見つかるという事件が発生した。高速鉄道プロジェクトへの影響も懸念される。

 中国政府の主導で作られたアジアインフラ投資銀行(AIIB)はこのほど、最初の融資案件4件を決めた。しかし投資総額はわずか5億ドル強にとどまっている。中国社会科学院がこのほど発表した「『一帯一路』建設発展報告(2016年度版)」でも、動き出しはしたが、政治的な不安定、財政面での資金不足など、さまざまな問題に直面していると指摘している。

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