企業狙う「チャイハラ」いつまで続くのか 都合悪くなると“脅し”のように圧力 (4/4ページ)

 山東省のジャスコ黄島店は、デモ隊に外壁や店内を破壊され、ホンダとトヨタの販売店も壊滅的な被害を受けた。キヤノン、パナソニックなど日系メーカーの現地工場も相次いで一時休止に追い込まれた。

 いつかは、中国当局に矛先が

 中国は米国に次ぐ経済大国に成長し、多国籍企業が多く現地に進出している。その立場を巧みに利用して、外交で不利な摩擦が起きるたびに、企業を標的に抗議活動が展開される。

 しかし、それは、中国の不安定化を招くリスクを背負う手段でもある。

 官職の腐敗、経済格差、言論の制限、景気低迷などに不満を募らせる中国市民の感情が、デモをきっかけに爆発する恐れがあるからだ。2012年の反日デモ翌年の13年は、デモの扇動はなく、静かな年となった。デモが恒例化すれば、いつか中国当局への抗議に転化しかねないとの懸念があったとみられる。また嫌がらせによって「チャイナリスク」が強く意識されれば、企業の脱中国の動きも加速させるのは必至。中国外交の横車を押す「チャイナ・ハラスメント」だが、自国の首を絞めることにつながる諸刃でもある。