
オム・ロムニー学長【拡大】
--理系人材のニーズは高い。さらなる援助で、現在の大学の規模をもっと大きくしたいと考えているか
「現在、学生数3500人に対し、講師を含む教師陣は約250人。単純計算で教師1人に対する学生数は14人だ。私はいたずらに学生数を増やすよりも、密度の濃い指導で質の高い教育を目指したい。国際的に通用する大学にすることが私の夢だ。また、産業界のニーズを捉えることは大事だが、大学の役割はそれだけではない。あくまでも質の高い学生を育てることが使命だ。学生たちには『学位にふさわしい知識と技術を持った人間であれ』と言っている。大学は就職あっせん機関ではない。『求められる人材になれば、仕事の方からやってくる』と言っている」
◆教育こそ希望
--学長は、1970年代のポル・ポト時代や内戦を経験し、その後、日本に留学した。激動の時代を生きた世代として、カンボジアの学生に教育を通して伝えたいことは
「少年時代にポル・ポト時代を迎え、家族離散、強制移住や強制労働を経験した。勉強もできず、食べ物さえなく、目の前で人間が鶏のように殺された。人としての尊厳と希望を失った時代を知るからこそ、教育こそが希望だと強く思う。教育により知識や技術を得ることで、人は自分の生き方を自ら選ぶことができる」
「日本には通算で8年滞在した。子供のころから日本で学ぶことは私のあこがれであり、多くのことを学んだ。日本が戦後の廃虚から経済大国へと成長した姿は私にとって素晴らしい手本だ。実際に日本で暮らしてみて、経済発展の基礎には技術だけではなく、真面目さや秩序を重んじる日本人の精神性が深く関わっていると気づいた。そういう面もカンボジアの教育に採り入れていきたい」