
インド東部ビハール州パトナで禁酒法違反の通報を受け付ける州管制室の職員ら=6月(岩田智雄撮影)【拡大】
◆酒の密売常態化
最近インドでは、牛乳の販売は専売店を通じてではなく、パック入りの商品を一般の店舗で行う形態が拡大しており、旧態依然とした政府の許認可の下での仕事は失業者の目には魅力的に映っていない。同紙によれば、元酒店経営者は、アイスクリーム店や菓子店などの経営に活路を見いだそうとするケースが多いという。
酒の密売が常態化したことによる、悲惨な事件も起きた。PTI通信によれば、州内で今月16日、密造酒を飲んだ市民16人が吐き気をもよおすなどした後に死亡した。酒を売った男はその後、逃亡先で逮捕された。事件現場を警察が捜索していたところ、地中に隠された550リットル分の密造酒が見つかったという。
インドでは、安価な密造酒を飲んだ人が中毒症状を起こして被害に遭うケースが少なくないが、同州では合法な酒の販売がなくなったため、今後もこうした事件が起きることを懸念する声も上がっている。
同州では今年4月、酒の販売はもちろん所持も禁止した「禁酒法」が施行された。販売は最高で終身刑、飲酒は最高で懲役10年に処せられる。当局は、厳しい措置で対応しており、これまでに違反者約1万1000人を逮捕している。
人口1億人余りを抱え、国内最貧の同州では、飲酒が夫による家庭内暴力や経済的困難を助長しているとして市民団体が長年、禁酒法の制定を訴えていた。(ニューデリー 岩田智雄)