◆深刻化する老朽化
このように日本人の膨大な預貯金が、国内不動産バブルと海外とに向かい、日本経済のデフレを持続させてきた。では国内にカネが回る余地はないのか。実は日本のインフラは多くが耐久年数を超えており、12年に起きた中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故に象徴されるように、それらの老朽化と危険度も極限状態で、その整備には巨額が必要だ。
わが国のインフラは、1960~70年代の東京五輪と高度成長期の短期間に急激に整備された。たとえば橋梁(きょうりょう)は70~75年に毎年1万~1万2000本の敷設で、今やこれらは40~50年経過している。しかし橋梁建設は漸減し、2006年以降は年間1000~2000本に激減した。したがって現在の橋梁を同じ規模で維持するのに、60~70年代と同じだけの橋梁投資が必要である。
また水道管の老朽化も深刻。水道管の総延長は地球16.5周分の約66万キロと言うが、その多くが55~65年代に敷設され、耐久年数の50年を超えている。13年度だけでも2万5000以上の基幹管路(導水管、送水管、配水本管)の破損だ。