
G20首脳会合の閉幕後、記者会見する中国の習近平国家主席=5日、中国・杭州(共同)【拡大】
【杭州=田村龍彦】中国・杭州で開かれていた20カ国・地域(G20)首脳会議は5日、世界経済は下方リスクが存在しているとして、成長に向け財政・金融政策、構造改革の全ての政策手段を活用するとした首脳宣言を採択し、閉幕した。中国を念頭に鉄鋼などの過剰生産を「世界的課題」と位置付け、為替の安定や保護主義への対抗でも一致した。
G20は過剰生産能力の解消に向け、生産国が情報共有や協力を行うフォーラムを設置することで合意。安倍晋三首相は「補助金などで市場が歪曲(わいきょく)されていることが根本的な問題だ」としたうえで、「対話で透明性を確保し、市場メカニズムに則した構造改革を促したい」と期待感を示した。
宣言は「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済金融の安定に悪影響を与える」と指摘。首脳宣言でこうした表現が入るのは珍しく、円高進行を食い止めたい日本の働きかけが反映された格好だ。
G20は多国籍企業による課税逃れ対策やテロ資金対策などでも協力を進めることを確認した。G20は2017年はドイツ、18年はアルゼンチンで首脳会議を開催する。