
プノンペンの高級住宅街に出店した米スターバックス・コーヒー。カンボジアでは1年足らずで3店舗を展開している【拡大】
たとえば、高級感で顧客を引き寄せる米カフェチェーン大手「スターバックス・コーヒー」が本格的に上陸した。昨年12月に、プノンペン国際空港に初めてオープン、今年5月にはイオンモール・プノンペンに出店、10月初旬には高級住宅街のバンケンコン地区に3店舗目をオープンした。この素早い展開は、高まる需要の手応えを感じたからだ。価格はアイスラテのグランデで税込み約4ドルと、地場カフェのコーヒー代の約1.5~2倍だ。それでも店内は連日、カンボジア人の若者たちで満席に近く、注文カウンターには長い列ができる。
また、日本の焼肉チェーン「牛角」も10月、バンケンコン地区に初進出した。中間所得者層から富裕層を狙う価格帯で、ランチの単品でも6ドル前後から。牛角に限らず、プノンペン中心部のレストランでは、ランチの価格が5ドルを切ることは珍しくなっている。また顧客ターゲットは、在住外国人よりも、利用単価が高いカンボジア人だ。
高価格帯の飲食店が繁盛しているのは、カンボジアの景気がいいだけでなく、消費スタイルの変化も大きい。プノンペンではサービス産業が種類も企業数も増大し、カンボジア人の給与所得者が増えた。貯蓄や保険はまだ十分に浸透していないが、給与所得者であれば、住宅や車、バイク、家電製品など大型の買い物でローンを使えるようになった。その分、飲食やファッションなどに使える金額が上がった。
一方でプノンペンには、建築ブームのコンドミニアム(高級マンション)やオフィスビルの需給バランスに対する懸念、交通渋滞の悪化、ごみ処理や洪水対策など、都市化に伴う課題も山積している。18年の国民議会選挙に向け、与野党の対立が深刻化していることも、安定的な成長には懸念材料だ。(カンボジア月刊邦字誌「プノン」編集長 木村文)