一方、米国では大統領選候補のクリントン氏、トランプ氏とも反対の立場で、TPPは当面、棚上げになる公算が大きい。対日交渉を担った米通商代表部(USTR)の前次席代表代行、ウェンディ・カトラー氏は米国内の承認手続きが「オバマ政権下で終わるとは思わない」と見切りを付けた。
TPP発効の遅れに、中国は「米国に対する国際的な信頼度の低下」(人民日報)につながるとほくそ笑む。8月にはカナダが中国主導のアジアインフラ投資銀行への加盟申請を決定。中国は米陣営の一角を取り込み、独自の国際秩序づくりを着々と進めている。
◆経営感覚
TPPがどうあれ、日本農業の再生が待ったなしの状況は変わらない。
15年度と16年度の補正予算に盛り込まれた農業関連のTPP対策費は計6575億円。関税貿易一般協定(ガット)ウルグアイ・ラウンド対策は総額6兆円の半分が「箱もの」を含む公共事業に使われ、効果が乏しかったとされる。その反省から、今回は公共事業を3割に抑え「産地の体質強化を重視した」(農林水産省幹部)。
自民党の小泉進次郎農林部会長は「農業に経営感覚、コスト意識を根付かせたい」と語る。全国農業協同組合連合会(JA全農)に改革を迫り、肥料や農薬など国際的に割高な資材価格の引き下げに照準を定める。
関連業界の再編にも関心を示すが「民間相手の難しさ」(農林族議員)もあり、落としどころはまだ見えない。(ワシントン、北京、東京 共同)