
財政制度等審議会であいさつする吉川洋会長(右)=27日、東京都千代田区の財務省【拡大】
2017年度予算編成に向け財務省は27日、財政制度等審議会を開き、医療費の地域格差是正をはじめとする医療や年金などの歳出削減案を示した。財政健全化のため、社会保障費の伸びを厚生労働省が要求した6400億円から5000億円に圧縮したい考えだ。だが、負担増を招く制度見直しは与党などの反発も予想され、実現のハードルは高い。
この日の財政審で財務省は、都道府県が実情に応じ病床などを適切に設定できるよう権限を強化すべきだと訴えた。
都道府県別の1人当たり年間医療費は福岡県が約60万円とトップで、最も小さい新潟県(約44万円)の約1.4倍になっている。
日本は諸外国より人口当たりの病床数が多く、病床が多い地域ほど医療費増につながっているとみられており、地域差を是正し医療費の適正化を図る狙いがある。このほか財務省は、高所得の高齢者への老齢基礎年金の支給停止なども求めた。
政府は20年度に財政の健全性を示す基礎的財政収支の黒字化を目指す。達成には社会保障費の自然増の抑制が欠かせず、上限を16~18年度で1兆5000億円(年5000億円)とする計画だ。