世耕弘成経済産業相は3日から、モスクワで対露経済協力についてロシア側と詰めの交渉を行う。極東開発など日本側が提示した8項目の協力案に基づき具体策を議論するほか、エネルギー開発の協力を加速する「エネルギー・イニシアチブ協議会」の初会合を開く。ロシアはサハリン(樺太)から天然ガスを輸入するパイプライン敷設など大型案件を要望しており、歩み寄れるかが焦点になる。
「各省が精力的に具体化に向けた事務的な詰めを行っている。(ロシア側の)閣僚たちと、どう具体化するかしっかり確認したい」。世耕氏は1日の記者会見でこう強調した。モスクワでは3~5日に会合が開かれ、エネルギー分野のみを議論する協議会や、8項目全体を議論する作業部会を行う。また、ウリュカエフ経済発展相らロシア側の担当閣僚と会談し、経済協力の中身をすり合わせる。
安倍晋三首相は、12月15日に地元・山口県でプーチン大統領と会談するまでに経済協力をまとめ、北方領土問題を含む平和条約締結交渉の進展を図る意向だ。ロシア経済分野協力担当相を兼務する世耕氏の訪露はその“露払い”を担う。
ロシアは経済協力をめぐり、延べ68項目の具体案を要望している。特にエネルギー分野では、サハリンと北海道を海底ケーブルでつないで電気を輸入する「エネルギー・ブリッジ」や、国際協力銀行(JBIC)が近く調印する北極圏・ヤマル半島のLNG開発事業への投資など、大型案件を相次いでぶち上げた。