
首相官邸で開かれた経済財政諮問会議。右端はあいさつする安倍首相=8日夜【拡大】
経済財政諮問会議での安倍晋三首相の指示は、財政政策を再び経済政策運営の「主役」に据える内容となった。金融政策頼みではデフレ脱却がかなわない状況を踏まえ、財政政策による景気刺激で低迷する税収を増やし、アベノミクスの原動力にする。ただ、いたずらに公共事業を増やすだけでは国の借金が膨らみかねず、平成29年度も重点分野を絞った予算編成を目指すよう指示した。
「これまでにも増して金融政策に財政政策をうまく組み合わせる必要がある。来年度予算は財政健全化を進める一方、足元の景気状況に配慮しなければならない」
安倍首相はこう強調した。
首相が財政・金融政策の連携の必要性を強く唱えたのは、年80兆円の国債購入など大規模な金融緩和にもかかわらず2%の物価目標が達成できないからだ。日銀は1日の金融政策決定会合で、達成時期を「29年度中」から「30年度ごろ」に先送りした。
首相が描くのは、金融緩和の継続で金利高騰を抑えつつ、財政支出による景気刺激で企業の投資や家計の消費を増やし、物価上昇につなげるシナリオだ。
一方、首相は29年度の予算編成に向け、子育て介護などの重点政策に予算措置を講じるべきだとも指摘。生産性や安心の向上につながる社会インフラの重点整備の必要性も強調した。
29年度予算概算要求の一般会計総額は101兆4707億円と3年連続で100兆円を突破し、公共事業を抱える省庁の要求が増えている。
景気刺激は喫緊の課題だが、一時的な効果に終わる公共事業なら財政は悪化する。政権は、持続的成長につながる政策を打ち出すことが求められている。(山口暢彦)