海からの秋風が吹き付ける高台から見下ろす崖下に、巨大なおわんを伏せたようなコンクリート製の原子炉建屋が立っていた。小さく見える作業員の姿に施設の巨大さを改めて感じた。
フラマンビル原発3号機。フランスの原発メーカー、アレバが開発、フランス電力(EDF)が2007年から同国北西部に建設を進めている最新式の原発、欧州加圧水型原子炉(EPR)だ。
完成すればフランス59基目の原発で、最大出力165万キロワットクラスと世界最大級の原発となる。10月半ば、日本記者クラブ取材団の一員として建設現場を訪れた。
「EPRには溶融した炉心を受け止めるコアキャッチャーなど最先端の安全システムが組み込まれており、原子炉建屋や電源設備は旅客機が突っ込んでも大丈夫な構造になっている。使われているコンクリートの量は、隣にある1、2号機を合わせたものよりも多いのです」と工事担当マネジャーのベルトラン・ミショーさんが言う。
だが、建設費は当初想定の35億ユーロから今では105億ユーロと日本円にして1兆円を超えるまでに膨れ上がった。完成予定も12年末からどんどん先延ばしされ、今は18年末の燃料装荷が目標と大幅に遅れている。
ミショーさんは「このタイプの炉の建設は初めてだったので想定外のことが多く起こった。工期が延びると人件費もかかるので建設費も膨らむ」と説明。「原子炉から離れた場所に緊急対応用の施設を建設することになるなど、東京電力福島第1原発事故後に安全対策の強化が必要になったことも一因だ」と話す。