父親の不動産会社を継いだトランプ氏は根っからのビジネスマンだ。「もうかるのか、もうからないのか」が座標軸の打算主義者である。その原点は民主党に近い。「大きな政府」が好きで、過去の大統領選では民主党候補を支援し、現夫人との結婚式にはクリントン夫妻を招待している。
共和党から出馬したのは、「勝てそうだったから」(ウォール街の共和党献金者)。「トランプ旋風」の原因は、クリントン一家に代表される支配層に対する白人中間層の怒りを代弁したことにあるが、こうした人々は共和党が多く抱えていた。
トランプ氏が1980年代に発刊した著書「ジ・アート・オブ・ザ・ディール」。11カ条からなる人生哲学だが、中身は功利的なビジネス論。思想が合わなくても共和党から出馬したのは、「多くの選択肢を持つ」という同書に書かれた信条に従っただけなのだ。
タブーなき本音主義
「マーケティング力」も見逃せない。テレビ番組に登場して名を売ったが、米デラウェア大学のダニロ・ヤニッチ都市・公共政策プログラム部長は「芸能人という立場を利用して、視聴率の高い時間帯の生放送に限って取材に応じるなど、マスコミ活用術がずばぬけていた」という。