通貨安批判 日本、為替介入困難に トランプ氏当選 政府、米景気に期待感も (1/2ページ)

 10日の東京市場で円安・株高が進んだことで、政府内には安心感が広がった。ただ、米大統領選で勝利したトランプ氏の経済政策は不透明な部分もあり、再び急激な円高が進む恐れもある。これまでトランプ氏は日本が輸出を増やすために為替操作を行っていると批判してきただけに、日本政府が円高を抑えるための市場介入に踏み切るのは難しく、今後、対応に苦慮する場面も想定される。

 「(トランプ氏の)共和党の政策が無難だと気づいたのではないか。市場はもう落ち着いている」

 財務省幹部は、円が急騰した9日と打って変わって10日の東京市場が円安ドル高で推移したことに胸をなで下ろした。

 トランプ氏は減税や公共投資を打ち出しており、「新政権の政策で米景気が上向けば日本にもメリットがある」(財務省関係者)との声も少なくない。

 とはいえ、政治経験のないトランプ氏が米大統領に就任し、保護主義などで世界経済の不確実性が高まる懸念もある。投資家がリスク回避の動きを強め、円高が進めば、輸出企業などの業績が悪化し、力強さを欠く日本経済に打撃を与えかねない。

政府の対応は手詰まり感もみえている