米国でも子育て世代が窮状を訴えている。試算によると人口の上位1%が富の半分近くを占め、最高経営責任者と非管理職の平均年収の差が373倍に上るという。大学の授業料が高騰し、奨学金や教育ローンなしに大学進学ができなくなっている。貧富の差拡大に不満を持つ人が多く、政治家経験がないトランプ氏が勝利した米大統領選は、政治の素人でも「今までとは違う」人を選択するという民意が表れたともいえる。
日米を同じように比較することはできないが、民意を軽視すると、とんでもないことが起きることは、どの民主主義国家でも当てはまることだ。日本の政治は常に、国民の生活と民意を、謙虚な気持ちで受け止めることが重要である。
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【プロフィル】細川珠生
ほそかわ・たまお 元東京都品川区教育委員。ラジオや雑誌でも活躍。父親は政治評論家の故細川隆一郎氏。千葉工業大理事。