しかしながら、その術が何にでも通用するわけではない。
例えば、選挙動向の記事によくみるが、「肌で感じる」「空気を感じる」という表現がけっこうあぶない。
数万人の観客を集めたスタジアムでスポーツの試合を観戦し、人々の熱狂度合いを「肌で感じる」ことはできる。が、3億2千万人の社会を「肌で感じる」のは並の実力と立場では叶えない。いわんや、公の場で発言する人は要注意である。
自分なりの経験で類推を重ねて全体像を描き、それに基づいて行動することが推奨されるのは、ある目的をもったなかでの、あるサイズの話である。
新しい市場にある事業プランをもって進出するに、十分な情報がなくても「分かったことにする」のである。これが通じるのは、自らの行動は状況判断にしたがって、調整を試みることができるからだ。
米国の選挙権がない、米国に住んでいない人間が米国の政治社会を判断することとはまるっきり違う話である。
これら二つの次元を混同してはいけない。(安西洋之)
【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)
上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。