TPP首脳会合で「消滅」回避 12カ国一致 米抜き発効は議論せず

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加する日米など12カ国は19日(日本時間20日)、ペルーの首都リマで首脳会合を開いた。TPPが経済面に加え、アジア太平洋地域の安全保障上も重要であると再確認し、来年1月のトランプ米政権の発足に伴うTPP消滅の回避へ全力を挙げることで一致した。米抜きでの発効は議論しなかった。

 安倍晋三首相は会合で、TPP脱退を掲げたトランプ氏が大統領選に勝利したことで、発効に不可欠な米議会の承認が厳しくなっているとの認識を表明した。その上で「われわれが国内手続きをやめてしまえばTPPは完全に死んでしまう。保護主義を抑えられなくなる」と述べ、各国に承認手続きを進めるよう求めた。

 米ホワイトハウスによると、オバマ米大統領は「TPPを前に進めるため、引き続き協力しよう」と11カ国の首脳に呼び掛けた。日本政府によると「国内の理解が得られるように引き続き努力を続ける」とも発言したという。恒例だった首脳声明の公表は見送った。

 首脳会合は1年ぶりで、今年2月に12カ国が署名し、協定が確定してからは初めて。トランプ氏は選挙戦で「来年1月20日の大統領就任日にTPP脱退を正式表明する」と訴えた。

 会合は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に先立って開かれ、予定を30分超える約1時間で終了。日米以外の10カ国も首脳が出席した。トランプ氏が翻意しなければ、12カ国による首脳会合は今回が最後となる可能性がある。(リマ 共同)