
シンガポールで開催されたフィンテック展示会で、自社技術を説明する日本企業担当者=17日(吉村英輝撮影)【拡大】
ジェトロが支援する7社の一つ、ドレミング(福岡市中央区)は、銀行口座がない労働者がスマートフォンアプリなどを使い、給与手取り額を上限に買い物ができる給与管理システムを提供する。途上国の低賃金労働者らの生活を支え、貧困や格差の低減につなげようと、2015年に設立した。ロンドンに昨年拠点を設けたが、直後に英国のEU離脱問題が発生。桑原広充・代表取締役は「来年中に東南アジアに拠点を設け、4億人の利用者を開拓したい」と意欲を示した。
ジェトロは今年2月、日本のベンチャー企業を対象に、シンガポールでの起業や特許活用を支援するビジネス・マッチングを同国で開始した。同様の試みは、米シリコンバレーで13年から行っているが、アジアでは初めて。中小企業の海外展開を促進したい日本側と、東南アジア最大の起業(スタートアップ)拠点として活動を活発化させたいシンガポール側のニーズが一致した。
第2弾となる今回の支援がフィンテックに特化した背景について、ジェトロ・シンガポール事務所の石井淳子所長は「各種イノベーションの中でも特に注目度が高い分野。シンガポール政府は、金融ハブであり続けようと起業を促している。各種の政策が試みられようとしており、日本として新たな知見の獲得も期待できる」と説明する。