関係強化のキーワードが「貿易」だ。習氏は演説のなかで、「われわれはアジア太平洋地域の貿易・投資協定および革新的発展に積極的に参加する必要がある」と強調した。
この発言の背景について、国際金融機関幹部は「中国の狙いは、アジア太平洋のほぼ全域を網羅するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の主導権を握ること」と解説する。
FTAAPを最終的なゴールとするアジア太平洋地域のメガFTA(巨大な自由貿易協定)は、二つの枠組みが下敷きとなるとみられていた。米国が旗振り役で中国が加わらないTPPと、中国が主導する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)だ。
トランプ氏は21日、大統領に就任しTPPを離脱することを改めて明言。米国が抜けTPPが漂流すれば、必然的にRCEPがFTAAPのベースとなり、中国の存在感も高まる。
実際、中国国営新華社通信によると、習氏は同日のペルーのクチンスキ大統領との首脳会談でも、「ペルーとともにFTAAPのプロセスを推進し続け、開かれた経済をつくりたい」と発言している。
オーストラリアのビショップ外相にいたっては「TPPが進展しなければ、その空白はRCEPが埋めるだろう」と“予言”。ニュージーランドも米国のTPP参加を訴え続ける一方で、中国との2国間の通商強化に動いている。
クチンスキ氏は11日、一部メディアに「米国抜きの新たな環太平洋での経済連携協定を築くべきだ」と発言。その枠組みに中国を加える案にまで言及した。
中国はここ10年間で約450億ドルもベネズエラに融資している。米ヘッジファンドとの債務返済問題で事実上のデフォルトに陥ったアルゼンチンに対しては、ダム建設などでの巨額融資を表明した。